トヨタっていえば、我々が抱くイメージとして、
鼻クソをほじくる暇もないほど、過酷な生産ライン
を真っ先に思い浮かべるが、しかしトヨタは
日々刻々と変化を遂げている。
今、現在のトヨタって、どんなだろうか?
・・・実は、
極端に非人間的な作業とは裏腹に、極端なまでに
社員の人間性を尊重する企業がそこにはあった。
激務・薄給をモットーとする労働生産性しか
考えていない、日本のDQN企業とはあきらかに趣が
違っているようだ。
私はトヨタという会社を考えた時、よく巷で語られる
典型的な日本型企業の経営方針とは、一線を引いて
考えなければいけないと思っている。
つまり、トヨタはたしかに日本の企業であるが、
いわゆる「日本型企業」とは、まったくの別物なのだ。
経営が窮地に追い込まれ、次々とDQN化していく
日本企業のなかで、ここだけは連続売上高16兆円、
経常利益1兆4000億円を超える超優良企業なのだ。
つい、最近まで王者の座に君臨していた、マイクロ
ソフトやマクドナルド等が、ここへ来て急に
元気が無くなってきたのを尻目にトヨタは失速の
気配さえまったく見せていない。
※ここで少し余談になるが、幸いにしてDQN企業が
どういったものか、よくご存じない方は、
職安に行って「昔から求人票を出している、皆が
名前をよく聞く、一番有名な企業名を教えて下さい」
と、尋ねてみるがいい(汗。
非常にリスクが高いので、くれぐれも深入り
しないよう注意が必要だが、社会勉強のために
試しにその会社に入社してみる。
そうすればDQN企業がどういったものかを心ゆくまで
体感して頂ける事と思う。(但し、すぐに引き上げる事)
おおよその目安は「低賃金・高離職率」が基本の
共通項目なのだが・・・(汗。
話を元に戻そう。
今、日本企業の間で流行している「従業員強制解雇」
がトヨタにはない事を、私は以前に書いた。
社内に余剰人員が発生した場合、他の日本企業なら
即、強制解雇になるのだが、ここの場合は他部門へ
まわされる。
もし、他に受け入れ部門がなければ、新たに
プロジェクトを立ち上げ、そのメンバーに投入
される。
つまり、人材は大切な財産として守られているのだ。
それどころか、さらには野球のフリーエージェント制
のように、ひとつの部署に一定期間以上在籍している
者なら、自ら希望して好きな部署に異動できるのだ。
組織は旧来のピラミッド型ではなく、フラット型で、
社内の風通しも良く、社員が職場の改善を提案する
ことは、最も褒め称えられる行為なのだ。
(つまり、自分の会社に文句を言って褒められる?)
そして、何よりも他の日本企業と違う決定的な
部分は、「隠さない」事だろう。
わかりやすいように三菱自動車を例に出すが、
同じ自動車メーカーである三菱は「リコール隠し」
が発覚して、最低最悪の超ブラック企業になった(汗。
しかし、トヨタは違う。
社内のどこかでミスが発生した場合、ミスを犯した
従業員は叱られるどころか、ミスの報告を評価され、
むしろ褒められるのだ。
そして、そのミスは後々に伝えられ、ミスの記録は
大切な会社資産となる(つまり、失敗は成功の基)。
不具合をオープンにするだけではない。
トヨタは、大切な経営ノウハウさえも隠さない(驚。
トヨタが発明した「後工程受け取りシステム」は、
GMや日本郵政公社はじめ、様々な企業や官公庁に
無料で提供されている(太腹。
ビッグ・スリーが要求すれば、いつでも工場見学を
させてくれるのだ。
他企業が教えを請う時は、どんなことでも気前よく
教えてくれる。たとえば、プリウスなどに搭載
されている次世代エンジン「ハイブリッドシステム」
は、な、なんと、ライバルである日産にも提供される
のだ。(しかも、最新バージョンで!)
「人を幸せにする技術はどんどん人に教えなさい」
・・・張社長の言葉だ。
トヨタ・・・世間の悪い噂とは裏腹に、結構すてきな
会社だった。
トヨタについては、まだまだ、書きたい事が山積して
いるが、これはいずれ「続・トヨタってどうよ?」
という形でまとめるつもりである(あくまで、つもり)。